子供の成長ホルモン治療13
思春期はいつ来るの!?②
昨日、 1) 思春期には男性ホルモンや女性ホルモンが必要である 2) 男性ホルモンは精巣から、女性ホルモンは卵巣から分泌される 3) 男性ホルモンや女性ホルモンが分泌されるためには、精巣と卵巣がある程度発達する必要がある 4) 精巣と卵巣を発達させるホルモンがある についてお話しました では、 この男性ホルモンや女性ホルモンは子供の体にどのような影響を及ぼすのでしょうか??? について本日お話します。 みなさんもなんとなくご存知だと思いますが、思春期には体が変化します 思春期とは以前もお話した様に、子供から大人に変わる時期です。これは、 ・ 生殖能力を獲得する時期 ・ 身長の急成長と停止 ・ 体の変化 などなど。。。 多くの方々から、身長が急に伸びた、声変わりが始まった、生理が始まったなどの明らかな身体の変化には気づくけれど、その前に気づくことは可能なものなのかと質問をいただきます。 結論から言いますと、 ある程度は可能です。 Tannerの性成熟度分類と言うものがあります (男児)

(女児)

簡単に説明すると陰毛,乳房,男性外性器の発育を5段階に分けて評価した分類です 画像は書籍pediatricsより使用させて頂いております。 女児 Tanner分類1度(思春期が始まらない時期):乳房は未発達。乳頭のみ突出 Tanner分類2度(思春期発来):乳房が膨らみ始め、乳輪が大きくなる Tanner 分類3:乳房腫大がわかるけれど乳房辺縁と胸部の境界が不明瞭 Tanner 分類4:乳頭輪の二次隆起が出現する時(乳房の大きさは個人差があるため) *陰毛が見られる・初潮開始時期:Tanner分類3-4度 参考:陰毛は最初大陰唇の内側に起こるため分かりにくい。 Tanner 分類3:恥骨結合部に起こります Tanner 分類4:恥骨結合をまたいで縦長(菱型)。成人に近くなります Tanner 分類5(成人成熟状態):大腿内側中央部まで拡大します 日本人はTanner 分類4までの方もおります。 男児 最初は睾丸容積の増加をみて成熟状況を確認します。その後陰茎増大、陰毛の発育と進んで行きます Tanner分類1度(思春期が始まらない時期):陰嚢・睾丸など未発達。陰毛なし Tanner分類2度(思春期発来):睾丸が大きくなり容積が4 ml 以上になる。陰毛が生え始める Tanner 分類3:陰毛増加、陰茎・陰嚢共に増大 Tanner 分類4:さらに陰毛増加、陰茎・陰嚢共に増大。髭の生え始め、声変わり Tanner 分類5(成人成熟状態) ここでご理解していただきたいことは、 このTannerの成長段階で第2段階で思春期が始まるということ! 現在日本では,男児は14歳,女児は12歳までに96%、男児では15歳,女児では13歳までに99.6%が思春期発来をみております。 後日お話しますが、非常に早いです。どんどん早くなってきています。 では、このような分類がなぜ必要かというと、 身長ラストスパート(急激に増加するとき)はこの身体の成長過程に大きく関わっているのです。 また、生理が来る時期や声変わりの時期がこの分類からある程度予想することが可能です。 次回は、この分類のどの段階で身長の急成長(そして身長の停止)が来るのかをお話します