子供の成長ホルモン治療9
SGA性低身長で成長ホルモン治療が受けられる基準
SGA低身長については以前もお話いたしましたので、今回は細かい話を抜きにして、一言『お母さんのお腹の中にいた期間に対して低体重もしくは低身長で生まれてきたお子様』ということです。
先ず、生まれたときの条件です (決してこれだけで治療の基準になりません!!)
(出生時条件)

生まれたときに2つの条件を満たす必要があります
1)出生時の体重及び身長
在胎週数相当の10%タイル未満
2)出生時の体重または身長
在胎週数相当の−2SD未満
皆様のお子様の母子手帳を見れば必ず出生時の身長と体重が書いてあるはずです
母子手帳を用意して身長と体重がどれくらいだったのか見てください。
参考までに在胎週数別出生時体重基準表は下記のHPからPDFでご覧になれます。
http://app.kcrt.net/bw/birthweight.pdf
問題は出生時で低身長(低体重)だったから治療が行える訳ではありません。
元々SGAで生まれてきても、多くのお子様が順調に身長が伸びて2歳頃までに追いつくこととも有ります。
では、治療を開始する条件は!?
以下の3つの条件を満たす必要があります
1)暦年齢:3歳以上
2)現在の身長のSD値:−2.5SD未満
3)治療開始前1年間んの成長SD値;)0 SD未満

以上から、SGA性低身長症で治療を開始するためには
1)出生時のSGA基準条件を満たす必要がある
2)治療開始時期(3歳以降)の基準条件を満たす必要がある
さらに、、
いくつかの条件が必要です
1)生まれた後、低身長の原因がお母さんの胎内にいたこと以外による場合は除外になります。
2)成長ホルモン分泌刺激試験を1回行い6以上であることが必要です(成長ホルモン分泌不全を否定する目的です)
SGA性低身長症は成長ホルモンが正常に出ているため、なかなか反応が鈍い場合がございます。
生活習慣病の発生も高いことが予測されており、成人になってからも定期的には通院していただきたいと思います。
SGA性低身長症とは
「SGA」とは、英語の「Small‐for‐Gestational Age」の略で、生まれたときの大きさが、お母さんのお腹の中にいた期間(在胎週数)に応じた標準身長・体重よりも小さいという意味。在胎週数が同じ100人の子どもがいたときに、その中で、小さい方から9番目までがSGAと呼ばれます。
乳幼児期は、一生の中で、もっとも成長のスピードが早い時期で、標準的な身長の伸びは、男の子の場合で1歳までに25cm、1~2歳の間に10cm、2~3歳の間に8cmとされています。生まれたときの身長が50cmだった場合は、3歳で約93cmにまで成長し、3年間で、身長が2倍弱も伸びるということです。
人間の体には、もともとこういった成長のパターンが組み込まれているので、たとえSGAでも、9割近くの子どもは、2~3歳までの間に、身長や体重が標準の範囲に追いつきます。しかし、その時期になっても、成長が追いつかなかった場合を「SGA性低身長症」と呼ぶのです。 SGA性低身長症の子供は、成人になっても背が低いことが予想されるだけでなく、成人してから、肥満や高血圧、糖尿病などといった「生活習慣病」になるリスクも高くなるといわれています。
SGA性低身長症の判断基準
SGA性低身長症の疑いがあるかどうかは、「成長曲線」を使って、判断することができます。成長曲線とは、子どもたちの身長や体重データを集計し、年齢と月ごとの平均値および「標準偏差(SD)」をグラフ化したもののこと。このグラフに、お子さんの身長の測定値を記載していくことで、ほかの子に比べて、身長の伸びが、標準からどのくらい離れているのかを見ることができます。
この成長曲線をつけてみて、お子さんの曲線が、2歳を超えても「−2SD」の曲線よりも下になり、成長曲線のグラフの傾きに沿って伸びていかない場合は、SGA性低身長症の可能性があります。成長曲線をつけてみて、「SGA性低身長症かもしれない」と感じたら、小児(内分泌)科の専門医を受診しましょう。
SGA性低身長症の治療
SGA性低身長症には、「成長ホルモン治療」が認められています。 成長ホルモン治療とは、身長を伸ばす働きがある「成長ホルモン」を、1日1回、自宅で睡眠前に、注射で補充するというもの。注射といっても、ボールペンのような形をしていて、手元のボタンを軽くノックするだけで打てる使いやすいものです。また細く、短い針の注射なので、痛みもチクっとする程度で済み、安心して使えます。
日本では2008年から、SGA性低身長症に対する「成長ホルモン治療」が保険適用になりました。ただし、成長ホルモン治療を開始するためには、年齢が3歳以上、現在の成長率SDスコアが0SD未満、現在の身長SDスコアが−2.5SD未満など、細かい規定がいくつかあるので、受診の際に、よく確認しましょう。